

循環式還元水処理装置
製造元
有限会社エイチ・アンド・エム
フィルターろ過+還元処理(電気分解)
還元処理水により設備の冷却水系から赤錆、スケール・スライム(水垢)
を取り除き、配管内部の詰まりを防ぎ、冷却効率を向上させます。

本体寸法
751mm×942mm×1182mm(H)
重量 132kg(水なし)
電源及び容量 AC100V 50/60Hz 10A
フィルター 5μm・・・ろ過面積:10㎡
製造元 有限会社エイチ・アンド・エム
還元水処理装置の特徴
● クーリングタワーのスケールやスライム(水垢)、
バクテリアの発生防止に
● 鉄配管の赤錆除去、不動態形成による防食に
● 化学薬品を使わず、環境にやさしい
● 使用水量、使用電力の軽減に
● メンテナンスの軽減、設備の長寿命化に
● レジオネラ菌の抑制、汚染防止に
用途
● 射出成形金型冷却水の赤錆防止に
● 水溶性切削油の防腐、切削効率の向上に
● ワイヤー放電加工の冷却水に
● 食品用水、飲料水の水質改善に
● 食品の洗浄水に
● 食品工場・設備の洗浄水に
● 農業作物の育成促進に
● 鑑賞池、噴水池の藻類・バクテリア繁殖の抑制
水がいくら綺麗であっても、条件が整えば鉄は錆びます。
水を浄化するだけであればフィルターで十分ですが、浄化装置や脱気装置、
さらには完全密封機を用いた場合でも、錆の発生と進行を完全に防ぐことはできません。
本装置は、水の浄化技術に加え、鉄を半日で意図的に錆びさせる技術、
さらに錆びさせない技術を確立してきました。
酸化とは逆の作用である「還元」を用いて腐食反応を制御し、水に還元処理を
施すことで、赤錆を南部鉄のような黒皮(黒錆)へと変化させることに成功しました。
本装置による還元水は、防錆が最も困難とされる工作機械のワイヤー放電加工機に
おいて、従来あらゆる種類の水が適用できなかった環境下でも、唯一採用されている
防錆用水です。
【効果】
赤錆には「浮き錆」と「密着錆」があります。
浮き錆の除去はもちろん、従来の方法では防止できなかった密着錆についても、
南部鉄のような黒錆(黒皮とも呼ばれ、磁石に付着するマグネタイト)へと
変化させます。
人体でいう血管内のコレステロールのように、配管内に蓄積するカルシウムや
マグネシウムなどのスケールを除去します。
バクテリアや水垢も除去します。
配管内の導通を改善し、詰まりを防止することで、冷却配管本来の目的である
熱交換効率を向上させます。
実証例
熱交換器 赤錆除去

赤錆が発生した熱交換器配管

還元装置稼働45日目の状態

冷却水配管に赤錆が発生している
装置の冷却水タンク

冷却水サンプル

還元装置稼働90日目の状態
実証例
クーリングタワーのスケール除去

設置2週間後の回収状態

設置2週間後の回収状態
高周波還元水の機能と産業への利用
1. 高周波還元水の概要と原理
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定義: 水道水などを高周波電流(交流)で電解処理し、酸化還元電位(ORP)を低くした水のことです。
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製造原理: 電極を用い、高周波電流を流して水を改質します。
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直流電解との違い: 通常の直流電気分解(アルカリイオン水生成器など)とは異なり、酸性とアルカリ性に分離せず、pHの変化が少ない(中性に近い)まま、酸化還元電位だけを下げることが可能です。
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安全性: 高周波を使用するため、人体への感電の危険性が低く安全です。
2. 高周波還元水の主な特徴
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高い溶解力: 酸化還元電位が低い(マイナス電位)ほど溶解力が高まり、
油を落としたり、ミネラル成分を抽出したりする能力に優れています。 -
持続性: 溶存酸素を含みつつ還元されているため、還元電位の持続時間が長く、ミネラルによる還元力も大きいです。
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有機物分解: 有機物の分離・分解作用があり、悪臭や酸化物を分解します。
3. 産業への利用展開
以下の具体的な産業応用事例と実証結果が報告されています。
① 消臭効果
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酸化チタン脱臭法と比較しても高い脱臭効果を示しました。
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特に硫化水素に対しては98.6%、アンモニアに対しても高い除去率を
記録しました 。 -
牛舎やトイレでの悪臭除去に成功しています。
② 赤さび除去および防止(防食)
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還元水中では、鉄の「赤さび(Fe2O3)」が、不動態皮膜である安定した
「黒さび(マグネタイト Fe3O4)」へと変化することが確認されました。 -
これは水素還元ではなく、溶存酸素が少ない環境下で鉄イオンが反応して
マグネタイト化する現象と考察されています。
③ ボイラー・冷却塔(クーリングタワー)のメンテナンス
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スケール除去: 原子力発電用ボイラーでの実験において、マグネタイトや
ヘマタイトのスケール除去効果(約13%〜25%)が確認されました。 -
レジオネラ菌対策: クーリングタワーにおいて、レジオネラ菌の生育抑制、
スライム(ぬめり)の防止、藻の発生防止効果が実証されました。 -
薬品を使用しないため環境に優しく、ランニングコスト削減にも寄与します。
④ 環境浄化(湖沼・ダイオキシン)
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湖沼浄化: 還元処理により微細粒子が凝集・浮上し、水の透視度が
向上しました。また、SS(浮遊物質)、全窒素、全リン、クロロフィルaの
減少が確認され、水質浄化に有効であることが示されました。 -
ダイオキシン分解: 還元水を用いた酸素欠乏条件下で、ダイオキシンを低温分解できる可能性が示唆されました。
⑤ クリーニング・洗濯
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高い洗浄力により、洗剤、漂白剤、pH調整剤の使用量を大幅(30〜70%)
に削減可能です。 -
油汚れの除去、黄ばみの漂白、消臭効果に加え、衣類がふんわり仕上がる柔軟効果もあります。
結論
高周波還元水は、飲料用(弱還元水)として味を良くするだけでなく、産業用
(強還元水)として洗浄、防錆、環境浄化、殺菌抑制など多岐にわたる分野で、
薬品を使わない「環境に優しい技術」として利用が可能であると
結論付けられています。
循環式還元水処理装置導入のご提案例
高速オフセット印刷機
1. 課題と背景
現在の高速オフセット印刷において、インキ揺動ローラーの冷却は
必須ですが、冷却水循環系に発生する「赤錆」が深刻な悪影響を
及ぼすことがあります 。
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印刷品質への悪影響: 赤錆の付着による熱伝導率の低下や流量低下が、
ローラー表面温度の上昇を招きます。これによりインキのタック
(粘度)や版面の湿し水バランスが崩れ、汚れや網点の変化など
印刷品質が不安定になる。 -
設備への悪影響: ロータリージョイントの詰まりや水漏れ、ベアリング
の焼付き、チーリングユニット(冷凍機)の熱交換効率低下などを
引き起こす 。 -
コスト増: 冷却効率の悪化による過剰な電力消費や、修理・部品交換
費用が発生する。
2. 従来の解決策の問題点
赤錆が発生した際の従来の対処法には、以下のデメリットがありました。
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ローラー交換: 費用が莫大であり、印刷停止期間(1〜2日)も必要 。
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酸洗浄: 環境負荷が大きく、配管腐食による水漏れリスクがあり、
洗浄作業に印刷停止が必要 。
3. 提案内容:循環式還元水処理装置
同社が提案するシステムは、「印刷機を止めることなく」赤錆を除去し、
防止するものです 。
【仕組みと工程】
冷却水を電気分解して「還元水」を作り、発生済みの
赤錆を溶解・剥離させ、フィルターで除去します 。
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第1ステップ(1〜2ヶ月): 還元助剤と電気分解で赤錆を溶解・剥離
させ、プレフィルターで捕捉します 。 -
第2ステップ: 5µmのPWフィルターに交換し、細かな錆を除去。同時に、}ローラー地金を腐食から守る「黒錆」の被膜を形成させます 。
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第3ステップ(維持管理): 年2回程度の電極交換と、3〜6ヶ月ごとの
フィルター交換で運用します 。
4. 導入のメリット
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稼働維持: 印刷機を稼働させたまま錆除去が可能 。
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コスト・手間削減: 頻繁な冷却水交換や防錆剤の添加が不要になります。
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品質・省エネ: 冷却効率が回復し、印刷品質の安定化とチラーの
電力消費削減につながります 。
5. 装置仕様(主なもの)
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電源: AC100V 15A
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寸法: 751mm × 942mm × 1,182mm (H)
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特徴: フィルターろ過と電気分解還元処理を組み合わせた
循環システムです。

